「電子カルテのコストダウンのポイント」

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2019.5.24

豆知識

医次元編集部

医次元編集部

はじめに

電子カルテを購入する際、多くの医療機関がシステムの購入価格に関して、準備不足なまま意思決定を行なっているように感じます。それは、システム会社と医療機関の間の「情報格差」が存在し、それが解決されることなく、購買決定にいたっているためです。

一方で、大幅に安くシステムを購入しているケースもあります。政治力を駆使して、強引な値引きを要求すれば、結果として安くはなります。(システム会社も地域の影響力を考えて広告的に、あえて採算を度外視して価格を低くするケースがあるためです。)しかしながら、無理な大幅な値引きは、システム会社の利益を圧縮しているわけであり、将来のシステム会社の存続に影響をもたらしているとも言えるでしょう。また、強引な値引き交渉は、心に恨みを残し、結局はサービスレベルの低下を招くことでしょう。

それでは、どうすれば売り手と買い手の情報格差が解消され、相互が良い関係を保ちつつ、双方が納得した価格交渉が行えるのでしょうか。

システム価格とは

電子カルテなどシステムの価格は、サーバやパソコンなどの「ハード代」と電子カルテなどの「ソフトライセンス代」と、それを導入する際にかかるカスタマイズ、セッティング、そして研修にかかるコストである「導入・研修費」、日々のサポートや診療報酬改定時にかかるコストである「保守費」から構成されています。

これらの費用の総額がシステムの価格となります。つまり、「何を購入するのか」という問いに対しては、「ハード代」+「ソフトライセンス代」+「導入・研修費」+「保守費」=システム価格、と回答すればよいのです。

近年、クラウドタイプの電子カルテが増えてきており、費用形態にも変化が見られます。クラウドタイプの電子カルテは、全体のコストをランニングコストとしてとらえることが多く、ソフト代がイニシャルコストに計上されずに、保守料と合わせて「利用料」として提示されることが多くあります。そのため、イニシャルコストを抑えて、ランニングコストが高くなるため、注意が必要です。

図 院内サーバとクラウドサーバの価格形態

通常はイニシャルコストが一括表示、ランニングコストは月額表示と、一見分かりにくい仕組みとなっています。そこで、ランニングコストを5年分(60ヵ月)で計算して、イニシャルコストとランニングコストを合算して考えると分かりやすいでしょう。

端末は何台必要か

 ハード機器やソフトウェアは、設置台数によって価格が決まるのが一般的です。そこで、「端末数は何台必要か」という問いに答えなければなりません。この台数については、事前調査時と実際の購入台数の間に違いが発生することがよくあります。この差によって、価格が変わることが良くありますので、基本調査の段階では、必要な最低台数で考えると共に、台数が1台増えることで、いくら増加するのか(端末当たりの価格)を明らかにしておく必要があります。

カスタマイズ費用が価格にもたらす影響は大きい

 これ以外に価格を決定する要素として考慮しなければならないのは、カスタマイズレベルです。システムを導入する場合、基本パッケージをベースに「オプション追加」が行われ、それでも解決しない部分はプログラム開発を伴う「カスタマイズ」が行われることが一般的です。要求仕様書に対するシステムベンダーからの回答書を「標準機能」「オプション機能」「新規開発」と分けて確認します。オプション機能や新規開発は価格上昇の要因となることは言うまでもありません。

3社以上の相見積りを行う

見積りを取得する際、少なくとも3社以上のシステム会社に依頼を行い、比較を行ってください。いきなり1社に絞り見積りをとっても、比較対象がありませんので、提示された価格を受け入れるだけになってしまいます。そこで、最低3社の見積りを比較していただきたいのです。

また、比較を行う際のポイントとしては、「同一条件」「同一時期」で行うことが大切です。システムの最初の利用期間として、大抵5年間を目安として計算します。また、システムの価格は日々変化しますので、「同じ時期」に見積りを取得してください。

価格交渉

メーカー各社の見積りがそろってきたら、それに基づき「価格交渉(ネゴシエーション)」を行います。価格交渉とは、購入者と販売者の駆け引きですが、あまりに強い値引き要求は、無理な値引き要求は、導入後のサポートにも影響します。相互に合意形成を図りながら、適正な価格で購入することをお勧めします。そのためには、ある程度「根拠のある値引き交渉」が必要となります。また、価格交渉の経過についても、しっかり時系列で管理を行ってください。

見積りを依頼する前に、関係のある病院に、購入時の見積りを見せてもらい、相場感をもって交渉すると良いでしょう。また、メーカーには関係のある病院の名称を提示しておけば、有利に交渉を進めることができます。それを行うことで、関係病院よりはるかに高い見積りは出しにくくなり、抑止力が働きます。

また、競合となっているメーカー名も提示することで、メーカー同士の牽制による価格低下を期待できます。ただし、メーカー同士が協力して近い値段を提示してくる場合もあるので、最初の交渉段階では伏せて置き、2回目の価格交渉で切り出すと良いでしょう。

カスタマイズを行わずに、パッケージに運用を合わせることが価格を下げるためには重要です。電子カルテなどのシステムは、開発が進み、かなりこなれてきましたので、ある程度はパッケージで十分な場合が多くなっています。また、カスタマイズ範囲が広がれば広がるほど、価格は高くなりますので、カスタマイズ範囲をできるだけ少なくし、運用でカバーするという考え方が価格を下げる秘訣です。

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