「電子カルテの選び方」

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2019.5.24

豆知識

医次元編集部

医次元編集部

はじめに

数多ある電子カルテメーカーの中から、自院に合った1社を選ぶという作業は大変難しく、病院経営者にとって、どう選べばよいのかは頭を悩ませる問題です。病院では、各部門のヒアリングを行い、その内容を要求仕様書(RFP)にまとめ、要求仕様書を、複数のシステムベンダーに提示し、それに基づきデモンストレーション、見積提示、選定という流れが一般的でした。このことからも選定のポイントは、①機能②操作性③価格④サポート⑤実績、の総合評価で判断してきたことが分かります。

図 選定活動と選定ポイントの関係

機能について

 機能については、病院側が希望する機能が「ある」か「ない」かというを要求仕様書の回答書で確認します。回答書には、「ある」「ない」で記載されている者のほか、「運用で可能」、「新規に開発が必要」といった記載が存在します。つまり、仮にその機能がなくても、あきらめないでください、運用で解決できるケースや新規に開発することで解決できるケースがあるというメッセージが含まれているのです。また、機能があると回答されていても、実は対処療法的なもの(使い勝手が良くない)であったりするため、実際にその機能をデモンストレーションなどでしっかり確認する必要があります。

操作性について

 操作性については、「デモンストレーション」で確認することが可能です。一般的には複数のシステムベンダーを集めて、会議室などで実際のシステムを設置し、システムベンダーの説明を1社1社受けながら、比較検討を行います。操作性は、ボタンの配置や画面展開といったインターフェイスの部分と、その作業行うまでの工数について確認することで、分かるのですが、厳格な選定基準というものは存在せずに、相性的な定性的な評価となりがちです。また、デモンストレーターの力量も大きく影響してきますので、できれば病院側で自由に触れる時間を取ることをお勧めします。

価格について

 価格については、システムベンダーから同条件で見積りとり、一覧表で比較することで確認することが可能です。その際、全体の価格だけでは比較できませんので、できるだけ詳細な見積もりを取ることをお勧めします。また、パソコン(サーバ、クライアント)やプリンター、無停電電源装置などのハード面と、電子カルテや部門システムなどのソフト面、そして保守にかかる価格を区別して作るように指示することを忘れないでください。見積りを取る際に、どこまでが標準的仕様で、どれがオプションなのか、どれが新規に開発するのかを明確にしておくことも大切です。(価格については、次回詳しくご説明します。)

サポートについて

 サポートについては、「システム構築に関する部分」と、「システム運用に関する部分」に分けて確認すると良いでしょう。前者を「導入サポート」、後者を「保守」と呼ぶこともあります。電子カルテは、多くの病院で初めて導入する場合がほとんどでしょう。電子カルテの導入は手探りであり、システムベンダーとの相談(コミュニケーション)を行いながら進めることになります。多くの導入例を振り返ると、電子カルテが実際の現場の運用に合うかどうかは、あるいは使いやすいかどうかは、このサポート面に大きく依存することは明らかです。成功に導く良き伴奏者を選ぶポイントはコミュニケーションレベルにあると感じます。病院側の要望を、適切にシステムに反映させるかは、コミュニケーションが非常に大切です。

実績について

 実績については、「全体の導入件数」だけでなく、「地域での実績」や「病床規模の実績」「急性期、慢性期など病床タイプ別の実績」を確認する必要があります。できれば、同じ規模で同じタイプの病院の事例などをお聞きしたり、実際に見学に行ったりすることをお勧めします。実績は言い換えれば、導入経験と言え、実績とサポートは大きく相関しています。ただし、後発メーカーは当然実績が少なく、老舗メーカーは実績が多いので、できれば過去1年間と決めて、実績を比較すると良いでしょう。

「クラウド」と「オンプレミス」の違い

 2010年に医療分野でクラウドコンピューティング(以下、クラウド)が解禁されて以来、病院の電子カルテを考える際の選択肢として、「サーバタイプ」が追加されました。具体的には電子カルテサーバを病院内に置くタイプを「オンプレミス型」、企業に置くタイプを「クラウド型」と呼び、そのどちらかにするかを検討します。

両者の大きな違いは、カスタマイズの程度にあります。オンプレミス型が病院ごとにサーバを設置する関係から、それぞれの病院運用に合わせたカスタマイズが比較的可能になります。一方で、クラウド型は企業にサーバを置き、複数の病院で共同利用することが想定されていることから、病院ごとのカスタマイズ範囲は少ないという特徴があります。

また、サポートについては、サーバ自体が企業側にあるため、システム変更やソフトトラブルなどの対応について、病院に訪問して作業することが減少するため、スピーディな対応が可能になり、ハード面のトラブル以外は基本的には訪問が必要なくなることも違いと言えます。ただし、リモートメンテナンスという技術が一般的になることで、オンプレミスとクラウドのサポート面での違いは縮小しています。

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