「電子カルテの業者の選定のポイント」

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2019.5.31

豆知識

医次元編集部

医次元編集部

はじめに

電子カルテを導入する際の登場人物(業者)は、システム自体を開発する「メーカー」とシステム導入をサポートする「SIer」、医療機関の立場でSIerとの交渉を行う「ITコンサルタント」が主なプレイヤーです。3者の関係は、メーカーとSIerはパートナーあるいは代理店と呼ばれる関係にあり、エリアごとに担当する会社が決まっています。また、かつてはメーカーやSIerのOBがITコンサルタントになるケースも多かったため、メーカー、SIer、ITコンサルタントが密接な関係にあったと言えます。最近では独立系のコンサルタントも出てきており、コンサルタントが複数のメーカーを横断的に理解している場合がありますが、それはまだ少数派と言えるのではないでしょうか。つまり、多くの場合、メーカーを決めることが業者を決めることと同じ意味を持つと言えるでしょう。そこで、今回はメーカー選定について考えてみます。

 メーカーを選定する際、ポイントとして、「機能」「操作性」「システム連携」「価格」「サポート」「実績」の6点のバランスから判断しています。それぞれを判断するポイントを解説します。

機能のポイント

「機能」については、パッケージの中に含まれている「基本機能」と「オプション機能」が存在します。それらの機能の中に存在しない場合は、「別途開発」となります。これらの内容は要求仕様書の回答で判断がつきます。近年、病院でも一から開発をしていくことは少なくなりました。多くの導入経験により、機能の追加が行われたためです。つまり、基本機能でカーバーする範囲が大きいほど、経験を積んだシステムであると考えられます。

機能を判断する基準は、「ある」「ない」だけではなく、その機能が現場のワークフローに合ったものかどうかも重要です。デモンストレーション時に気になる「機能」をしっかり確認してください。

操作性のポイント

「操作性」については、ユーザーインターフェイス(UI)とも呼ばれ、システムの使いやすさや見やすさを決定します。UIの優れたシステムはとっつきやすく、システムの利用開始時のハードルことを下げてくれます。特に大切なのは、機能と操作性が関係する部分で、現場のスタッフが直感的に理解しやすいシステムであることではないでしょうか。デモンストレーションや自ら操作してみて確認すると良いでしょう。デモンストレータの上手い下手でシステムの印象がかなり異なりますので、自らが触ることで、その印象の差を埋めてください。

システム連携のポイント

「システム連携」については、看護部門、放射線部門、検査部門、薬剤部門、リハビリ部門、栄養部門など部門システムと電子カルテの連携を指します。様々なメーカーと連携する場合はマルチベンダーと言ったりします。電子カルテを決定する際に、並行して行われる部門システムの選定に合わせて、システム連携が可能かを確認する必要があります。この部分も連携の経験があれば、すでに連携インターフェイスがあるためにスムーズに進みますが、初めての連携の場合は開発や連携テストが必要となります。

価格のポイント

 「価格」については、第3回で詳細に触れましたが、各社から提示された見積りをハードとソフト、保守の費用をそれぞれ比較します。この際、価格が安いか高いかで判断するのは時期尚早です。新規に開発する部分が増えれば、後から費用が上乗せされて、トータルコストは当然高くなります。システム間連携にかかる「接続コスト」も馬鹿にならない費用です。最初に出された見積りだけでは判断できない部分もあることを理解してください。

また、電子カルテは一旦導入したら、なかなか買い替えが難しいシステムです。そこで、5年後の更新時にどれくらい費用がかかるかも概算で構いませんので把握しておくことをお勧めします。

サポートのポイント

 「サポート」については、導入時にかかるサポート、導入後に発生するサポートがあります。前者を導入サポート、後者を保守と区別する場合もあります。サポートはメーカーごとのスタンスが明確に出る部分です。営業時から期限内に資料が出て来なかったり、待ち合わせの時間に遅刻して来たり、こちらの意図と違う資料が出るといったことを繰り返すメーカーは当然、サポートにも同様の傾向が現われます。つまり、こちらが提示した課題に対して、期限内に適切に実行できるメーカーかどうかを判断する必要があるのです。

実績のポイント

 「実績」については、実績が多いければ多いほど、経験を積まれていますので、導入がスムーズに進みます。しかしながら、会社の体質として、個々の担当者に強く依存している場合は、担当によって大きな違いが生まれることも事実です。つまり、実績が多いから万事安心というわけではないと思ってください。

また、実績については「地域」や「病床規模」、「病床タイプ(急性期、回復期、慢性期)」など細かく見ていくことが重要です。自らの病院と同規模で同タイプの病院の事例を紹介してもらったり、見学に活かせてもらったりして、自分の目で実績を確認すると良いでしょう。百聞は一見に如かずなのです。

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