電子カルテとリハビリ部門システム

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2019.6.17

豆知識

医次元編集部

医次元編集部

はじめに

 高齢化が急速に進む我が国において、急性期医療中心の医療から、回復期や慢性期に医療の中心が変化してきています。そのような変化の中で生まれた「地域包括ケア病棟」や「回復期リハビリテーション病棟」など回復期病棟において、重要な役割を担っているのは「リハビリ部門」です。

リハビリ部門では、一般的に「リハビリ支援システム」と呼ばれる部門システムに様々な業務情報を入力します。医師からのリハビリ指示を受けた、PT(運動療法士)、OT(作業療法士)、ST(言語聴覚士)などのセラピストは、患者さんのそれぞれの状態に合わせたリハビリ計画(スケジュール)に基づき、リハビリを実施し、定期的な評価を行います。また、医師や看護師など多職種と情報共有やカンファレンスを行いながら、患者さんを回復に導いていきます。さらに、実施したリハビリの内容を医事会計部門に送ることで、費用化が行えます。これら一連の業務を管理するのがリハビリ部門システムです。

電子カルテ(オーダーリング)とリハビリ支援システムの連携

 医師が患者さんに対してリハビリが必要であると考えた場合、電子カルテでリハビリオーダーや総合実施計画書の作成を行います。それを受けてセラピストは、リハビリのメニュー(訓練)を立案し、スケジュールの管理を行います。日々、実施した内容はリハカルテ(リハビリカルテ)に記録を行っていくこととなります。また、看護師はリハビリメニューの進捗を常に確認して、ケアを行っていきますので、電子カルテとリハビリ支援システムの連携は密なものでなければなりません。

また、セラピストは、リハビリ支援システムから電子カルテやPACS(画像ファイリングシステム)を閲覧できることを希望されますし、医師や看護師からは電子カルテからリハカルテが閲覧できることを希望されます。多職種間での情報共有がスムーズにできることが重要であるためでしょう。

レセコンとリハビリ支援システムの連携

 リハビリ部門で実施した内容は、会計情報としてレセコン(医事会計システム)に送信する必要があります。この機能がなければ請求につながりません。また、患者さんの頭書きなどの基本情報を連携することで、リハ部門で新たに患者情報を登録する手間を省いています。さらに、医事会計部門から実施内容を確認したいという要望があれば、リハカルテを医事部門から閲覧できるようにする必要もあります。

帳票を簡単、スムーズに作成できること

リハビリは、計画書や評価表、実績指数の報告書など、様々な報告書の作成が診療報酬の算定要件になっています。これらの帳票類は、最近は、アウトカムの評価を重要視する傾向にあるため、診療報酬改定があるたびにどんどん増えているように感じます。帳票類を簡単に作成できるかどうかも、システム選定においては重要な要素となります。帳票作成までのプロセスをしっかりと確認してください。

端末の取り合いが起きないように工夫する

リハビリ部門は、看護部門同様スタッフ数が多く、端末の取り合いが起きやすい部門です。訓練の最中には入力が難しいため、訓練と訓練の隙間時間を使って入力したり、終わってから一気に入力を行ったり、といった運用になります。そこで、適正な端末数をしっかり計上することと、実施場所での入力が可能なように電子カルテカートを検討することも重要です。最近では、iPadやサーフェスなどタブレット端末を利用したいという要望も増えていますので、端末の種類、台数、カートの有無(有の場合は台数)などをしっかり確認すると良いでしょう。

定型文を登録してカルテ記載時間を短縮する

 セラピストから、「システム化したら、リハカルテの入力に時間がとられて困る」という意見をいただくこともあります。リハカルテの入力に時間を取られては、本来の業務に影響をもたらしてしまうからです。

さて、どうすれば、素早く簡単に入力ができる仕組みを構築できるのでしょうか。これは現場の運用に合わせたインターフェイスをデモンストレーションなどで確認することが大切です。また、リハビリ部門で、あらかじめよく使う言葉や文節を整備(標準化)しておき、システムに定型文として登録することで、リハカルテの入力がスピードアップします。この作業を、一般的にマスタ整備や用語登録と呼びますが、これを稼働前にしっかりとやっておくことをお勧めします。

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